復刻『週刊 岡庭昇』

〜岡庭昇を因数分解する〜

第14回 2017年4月3日

こんにちは、岡庭野野花です。

 

 

ところで私たちは、「バブル崩壊」から何を学んだのでしょうか。

失われた20年と言われて今に至りますが、

そう言われ続けた間も、バブル時代の浮かれ気分や派手さがほんの少し減った程度だし、オリンピックに向かっている今は、東京では建築ラッシュ。

東京の真ん中で私たちは、不況の悲壮感を感じずに暮らしています。

 

読み始めた『自己決定力 ———人まかせの「生活大国」はない』(徳間書店)の冒頭をぜひ一緒に読んでください。

 

 

P3)

 バブル崩壊だといっても、市民社会は結構みんなぬくぬくと暮らしている。責任をとらされてやめた社長も、多額の退職金を手にした。厳しい不況といっても、だいたい三割ほどの減収といったところだろう。

 あれだけの無茶なバクチ・ゲームをして、なぜこれですんでいるかといえば、山谷、釜ヶ崎などの寄せ場に、すべての尻ぬぐいが押しつけられたからである。大企業は負担を下請けに押しつけ、下請けは孫請けに押しつけ、そしてすべては寄せ場に押しつけられる。アメリカでは先住民、黒人や、後発移民にターゲットが強いられている。日本の場合は労働市場における、あらゆる意味での差別構造が、日常的にゲットー役を担わされる。しかも前者と異なり、後者は包みかくされ、ますます見えない存在にされている。

 

A:

バブル崩壊以降、日本の格差は紛れもなく拡大しています。

年収格差、雇用格差、経済格差、教育格差、地域格差、労働環境の格差、団塊世代の格差、企業と家庭との格差……

 

B:

はい。OECDが発表したデータによると、日本の貧困率15.3%も!

世界の先進国のなかでも、貧困率No.5です。24ヵ国の平均10.4%を大きく上回っているこの数字に愕然とします。

ドイツやフランスなどヨーロッパの有名な国の多くは、軒並み10%以下です。が、アメリカは日本を上回る17.1%!

 

A:

日本にとって大問題なのは、この20年間で貧困率が急上昇していることです。ひと昔前まで日本は、「一億総中流」とか言われて、貧富の差が一番少ない国でした。それがわずか10年で、こんなにも格差が拡大。

このことに私たちはもっと目を向けるべきではなのです。

 

 

野野花:

バブル崩壊後に父は、

 

こんな残酷なシステムは、もうここらでやめようではないか。ポスト・バブルがたまたまプレ・バブルでしかなく、どこまでいっても飢餓の強制の上の繁栄でしか持てないなら、寄せ場(注・日雇い労働の求人業者と求職者が多数集まる場所)は、いつまでも寄せ場はいつまでも寄せ場でありつづけるだろう。あらしめられる、だろう。

 

と、書いています。

 

バブル崩壊後、格差社会は広がっています。

父は、この残酷なシステムから脱却するために、この本の中で「自己決定力をつけかた」を提唱しています。

 

次回から、自己決定力とはどのようなことを指すのかを探ります。

 

東京は、桜が咲いています。

 

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