復刻『週刊 岡庭昇』

〜岡庭昇を因数分解する〜

第40回 2017年11月6日

こんにちは、岡庭野野花です。

 

メディアでは、「バブル景気」を超えて、戦後3番目に息の長い「好景気」になっていると言われています。でも、実質賃金の変化を見ると「いざなぎ景気」の頃は1年当たり8.2%上昇。「バブル景気」の頃は1.5%の上昇。しかし、今回の「景気回復」では増えるどころか0.6%減少しています。

 

A:

え!? そうなんですね。では、いったいこれのどこをとって景気がいいと言っているのでしょうか?

 

野野花:

Aさんも、まんまと操作されているんですよ。父はとうの昔に多くのからくりに気づいて、「かくもさまざまな言語操作」を書いて警笛を鳴らして

いたんだと、今さらながら感じています。

 

A:

そういえば、経済発展を続ける一方で賃金は下がり続いているじゃないですか。やがて国民の年収は300万円程度になるとも言われています。

B:

私も気になっていました。実際に1990年以降は国民の年収は下がり続けていて、平成26年には年収300万円以下の人口が全給与所得者の4を占めているという結果だそう。

A:

GDPは、日本は世界第3位ですが、OECD(経済協力開発機構)貧困率の調査では、日本は発展途上国と同等かそれ以下の、世界第4となっているのです。

B:

わ〜! びっくりです。貧困は確実に日本に広がっているんだ。ということは、メディアの情報ってあまりにも現実と乖離しているじゃないですか!

野野花:

父の著書を通じて、私たちはメディアからの情報のとらえ方を今一度考えなければならないと、心から思います。そして、再度共生的(誰もがともに生きていける)社会の創造の必要性を感じていただきたいと願います。

先々月から「かくもさまざまな言語操作」を読んできましたが、最後にあとがきを一緒に読んでください。

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p283

あとがき

 わたしはなにも、特別な情報の入手先をもっているわけではない。読んでいただければはっきりしているように、一人の市民たる情報の受け手として、それを読み込み、読み替えたのである。また「さまざまな言論操作」という本書の課題は、なにかの大事件について、その裏話はじつはこうなのだ、と言った類のことではない。

 ごく日常的な報道情報こそが、総体として言論操作なのであり、権力を支えているということが、ここでの課題なのである。

 危機がかしましく喧伝されている。だが、浮き足立つことはない。それは「彼ら」の危機なのだ。一党独裁体制の危機を、一党独裁のご都合主義で立て直すために、われわれまっとうな市民をまきこもうとする陰謀にほかならないのだ。このことを改めて確認しておきたい。    (19982月7日)

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さて、米国史上最低支持率向かっていると言われているトランプ大統領が来日しました。父の著作の多くは史上最低支持率であったブッシュ大統領の当時に書かれているものですが、今の米国や日本の状況は、その当時から引きずっていると思われます。

次回からは、「帝国の暗闇から」という著作から、米国と日本の関係を再度紐解いていきます。

 

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