第41回 2017年11月27日
こんにちは、岡庭野野花です。
今日から『帝国の暗闇から』を読み進めていきます。
父がこの本を書いたのは2004年のことですので、まずはその前後を振り返ってみましょう。
A:
2001年9月11日に、のちに「9・11(きゅーいちいち)テロ」と呼ばれる同時多発テロが起こりました。このテロ事件を契機にアフガニスタン侵攻を進め、さらに2002年、国際テロ組織とならず者国家と断じた悪の枢軸(イラク、イラン、北朝鮮)との戦いを国家戦略としました。
「アメリカの防衛のためには、予防的な措置と時には先制攻撃が必要」の声が強まります。
B:
それで、アメリカ合衆国は、イラクに対して大量破壊兵器を隠し持っているという疑惑を理由に、2003年3月20日、イギリス、オーストラリアと、工兵部隊を派遣したポーランド等が加わる有志連合で、イラク武装解除問題の大量破壊兵器保持における進展義務違反を理由とする『イラクの自由作戦』の名の下に、イラク戦争に踏み切っていくわけですね。
A:
5月、ジョージ・W・ブッシュにより「大規模戦闘終結宣言」が一方的に出されましたが、イラク国内でアメリカが指摘した大量破壊兵器が見つけられない。また、イラクの治安悪化が問題になって、集結宣言翌日から米軍撤退後のイラク単独での治安維持に向けた『新しい夜明け作戦』が始まりました。
B:
長い年月が流れて、2011年12月、ようやくアメリカ軍のイラクからの完全撤退。
「イラク戦争終結宣言」がオバマ米大統領により出されて、イラク戦争が終結します。
A:
戦争を始めるのは簡単ですが、終結するのには本当に時間がかかります。
今、北朝鮮とアメリカは、まさに一足即発の状態。ミサイルがアメリカに届くようなことになれば、その報復を理由に戦争を仕掛けることになりかねません。もし戦争になったなら、終結するためにはかなりの時間がかかるでしょう。
B:
北朝鮮とアメリカの関係を横目で見ている場合ではないのです。他国のことではなく、巻き込まれるどころか主体的に関わっていくように思えてなりません。
野野花:
『帝国の暗闇から』は、まさに2003年にジョージ・W・ブッシュが大規模戦闘終結宣言を出した以後、イラク戦争の事実上の帰結がなされないそうした状況の時に書かれた本です。
なので、今の状況と9・11前後のアメリカの状況とがもしかして似ているのではないかいう仮定が生まれますね。
そもそも、「9・11テロ」はなぜ起きたのでしょう? その理由としては
1.戦後、中東(アラブ系の国が多い)の石油資本をめぐって、アメリカの石油メジャー利権のほとんどを握ってしまったこと。
2.湾岸戦争で、サウジアラビア侵攻を狙うイランの抑止力として、イスラムの2大聖地のあるサウジアラビアに米軍を駐屯させたこと
3.イスラム法に厳格に従うべきだとするイスラム原理主義組織にとっては、アメリカは金銭と快楽を追求する腐敗した神に背く国だと考えられていたこととされていますが、未だブッシュによる陰謀説もながれはっきりしていません。
今もイスラム国が終焉を迎えているといわれながら、世界各国で続くテロは続いています。これは9・11から今も続いています。9・11 を考えることは今北朝鮮問題と対峙している日本を考えることになりそうです。
本書の「第1節 アメリカを封印せよ」の冒頭、父はこう書きはじめています。
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P.13
いうまでもなく、われわれもまた西欧社会の一員であり、収奪するものである。だから「われわれ」にも根源的な問いを突きつけた2001年の「9・11テロ」は、しつこく考えられなければならない原点である。
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収奪とは「奪い取ること。強制的に取り上げること」「占領軍が土地を収奪する」を意味します。
つまり、私たちは西欧社会の一員であり、グローバルにみた時には他の国のものを奪い取っているという立場います。そうした私たちが「9・11テロ」から始まる今どのように世界と向き合っていくのかを、本書を読みながら考えていきます。
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はじめに
P5
各地でアメリカは、独裁や王政を作り、それと手を結ぶことで、石油の「安定供給」を計ってきた。今の形式にせよ、自らの意志を曲がりなりに持つ民主政権を立てたところで、アメリカはそれを使い切れない。
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さてさて、次回からは『帝国の暗闇から』を深く読んでいきます。
古本屋さんで買ったら、サインがありました。驚きました。