復刻『週刊 岡庭昇』

〜岡庭昇を因数分解する〜

第44回 2017年12月25日

こんにちは、岡庭野野花です。

 

今日も「帝国の暗闇から」を読み進めます。

9.11の頃について書いている箇所を読み進めています。

イラク戦争陰謀節が流れはじめました。

 

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P51

3節 アメリカはヒトラーを「必要」とした

        そして、ビン・ラディンも?

 

 

「民主主義VSファシズム」という対立図式があり、その前者が勝利したというのが第二次世界大戦に勝った側の総括だった。

それは、第二次大戦に勝利国米・英・ソ・仏・中が集って、敗戦国に降伏を勧めたり、戦後の行政を各国で相談した年の名前である。転じて戦後の世界の基本姿勢をそう呼ぶようになった。敗れた枢軸側がファシズムを唱え、勝った側、すなわち戦後世界を動かした側が民主主義

建て前としたため、戦後世界の支配文化は民主主義を軸にすることとなった。

 

だが、第二次世界大戦直前、スペインの民主主義の危機に、義勇軍としての参戦にさえ歯止めを掛けるなど連合国側にも疑問は多いし、独ソ不可侵条約の締結におけるように民主主義はマキャベリズム優先の中で踏みにじられる等、勝者の側の偽善の匂いは歴然としている。それはやがて軸が反共・冷戦に振れるにつれ、ますます虚偽の建て前の感を深めていった。

 

それに民主主義は絶対の正義とされたため、高まりつつある第三世界の、正当な権利である固有の宗教や民族意識に対して「抑圧」となった。これら多くの基本的な疑問を再検証するべきなのに、戦後左翼を中心に理論家はそれを絶対化することに熱心であった、と批判されても仕方がない。こんにち、あらゆる「戦後処分」を許さないと公言するわたしが、なおそういうのである。

 

 

P53

 だから、逆説的にこうなる。民主主義は大事な基本理念であり、尊重されるべき精神である。だから、それを虚構として利用し、世界中にヤルタ・ポツダム体制を支配機構として押し付けたアメリカは、民主主義の名によってこそ糾弾されるべきなのである。

 

 このあとに思いを致すなら、それがついには「正義の味方アメリカVS悪の枢軸」という、いかにもジョージ・ブッシュらしい幼稚な図式に単純化するとき、まさに支配原理(つまりアメリカを中心とした虚構)は、半世紀を隔てて内包する破綻をあらわにするだろう。

 

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野野花:

少し長くなりましたが、ここは一気に読まずにはいられませんね。

 

A

2004年に発行された本だとは思えないです。

 

野野花:

アメリカの有力誌『ザ・アトランティック』(1025日付)は、「考えられないこと(The Unthinkable)」と題する記事を掲載しました。

 

A

私も手にしました。

 

B

どんな記事だったのですか? どんなことが考えられないのでしょう? 

 

A

北朝鮮危機はエスカレートしており、核戦争の可能性は単なる言葉のやり取りではなく、現実的な議論になっている」と、ワシントンの雰囲気を解説していました。

北朝鮮のミサイル・核開発を中止しないことが、今の北朝鮮危機の原因ではあることは間違えありませんが、経済制裁テロ支援国家」の再指定、国連での閣僚級会合での様子などを見ていると少しずつ開戦へとじわじわと進んでいるのではないかと思います。

 

野野花:

その通りです。

この状況において、私たちはどのように物事を捉えるべきかを

あらためて考えなくちゃと思います。

年明けから、本書を続けて読み解いていきましょう。

 

いつもブログを読んでくださいまして、ありがとうございます。

どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

 

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