復刻『週刊 岡庭昇』

〜岡庭昇を因数分解する〜

第48回 


こんにちは、岡庭野野花です。

 

現在、台湾には「国民党」と「民進党」という2つの大きな政党があります。AさんもBさんもきっと基本的なところで、ある疑問を抱いてるんじゃないかと思います。この2大政党って、日本でいうところの「自民党」「立憲民主党」のようなもの? と。

 

A・B:
はい、その通りです。まず、確認したい点です。

 

野野花:
では、今日はここから考えたいと思います。

大きくわけると、「国民党」は、蒋介石と一緒に台湾に逃げてきた中国大陸出身者系統で、北京語を話す人たちが中心の党です。
民進党」は、もともと日本の植民地だった台湾オリジナルの人たちで、台湾語を話す人たちが中心の党と捉えられるのではないでしょうか。

 

A:
なるほど、すごくわかりやすいです。

 

野野花:
もともとは正当な支配者として「国民党」が中心で、2000年に「民進党」の陳水扁が総統に選出されるまで、台湾の政権はずっと「国民党」が握っていたようです。

B:
そして政権交代が何度かあって、今は「民進党」の蔡英文中華民国第14代総統となっているわけですね。

 

野野花:
日本の政党とは異なり、民族とその歴史からそのアイデンティティははっきりしているのはないでしょうか? 中国共産党との距離、いわゆる「一つの中国」について、各党の理解もこの過去の台湾の歴史を紐解かなければわからないのです。

 

A:
でも、私たちはその周辺の事実をまったく知りません。

野野花:
このことついても、父は『帝国の暗闇から』で取り上げてくれています。

 

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とにもかくにも「2・28大虐殺」が情報として封印されたのでは、日本人は占領という事実にさえも気付くはずがない。つまり、国民党の台湾占領という発想が、ごく奇妙に思えるだけだろう。
 とはいえ、根本的には戦後日本、旧植民地への無責任な関心のなさがすべての大本である。歴史に対するもっとも軽薄な態度としての「帝国の欠乏」である。付け加えれば「同じ民族」という神話によって、こんどは社会主義中国が台湾を植民地にしようと計っているのだ。

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B:
本当にきな臭い話ばかり!

A:
世界の平和は薄氷の上にのっているようなものですよね。

 

野野花:
そしてアジアでは、中国が大国として世界に台頭してきています。そんな中で、アジアに住みながら第二次世界大戦前も後、私たちはアジアの歴史を、ただ年号だけで追っているのではないかなと思います。

私たち日本人は、民族、そして過去の歴史の延長線上で現代社会を直視できていないのではないでしょうか。

次に紐解くべきは、済州島「4・3事件」です。
「2・28大虐殺」と並んで戦後史の封印された事件です。

 

その前に、ひと息つきましょう。
カフェでかわいいラテアートを作っていただきました。

 

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