第55回 2018年4月2日
こんにちは、岡庭野野花です。
読み始めた時は寒くなる時期で、初夏へ向かうというのにまだ『帝国の暗闇から』が手元にあります。
北朝鮮の金正恩が精力的に活動したり、米朝首脳会談があったり、海外は目まぐるしく動いています。そんな中、日本では毎日毎日、森友や加計学園、さらに防衛省の日報問題が繰り返し報道されています。
A:公文書の改ざん・隠蔽、情報の行き違い、言った言わないのってニュースが毎日本当にうんざりです。この国の民主主義って一体どうなっているのでしょうか?
野野花:今回の問題は、官僚と政治の関係を真正面から紐解く必要がありますね。
そもそも、現代の日本における政治システムは「権力分立」の原理に基づいて、「立法」「行政」「司法」の各機関に明確に分割されています。この構図の認識、皆さん大丈夫ですか?
B:「公民」の授業で習いました。でも、ちゃんと考えたことなかったこと、反省します。
A:国会は「国権の最高機関」。衆議院・参議院があって、国民の直接選挙で選出された議員から成り立っています。この議員がいわゆる「政治家」でしょ。
B:首相、つまり内閣総理大臣も、この国会の決議で指名されて、内閣を構成するんですよね。
A:内閣の下には大臣がいっぱいいて、中央官庁があって、それらが内閣から委託されて行政事務を取り仕切っているという構図。中央官庁で働く国家公務員こそが、「官僚」なんです。
B:「官僚」って具体的には何をしているんでしょうか。
A:政治についての専門知識をいっぱい持っていて、それを活かして実務を進める役割とでも言いましょうか。まず政治家が世論を汲み取って政策を作り、それを実行するために施策する役割を担うのが「官僚」です。内閣では、総理大臣が代わるたびに人員変更があるでしょう。だから実質的・継続的な仕事は、官僚が進めているんです。
B:なんとなく、「政治家」も「官僚」ともに「国政に携わる」という観点から見ると同じかしら? と思っちゃいますが、大違いなのですね?
A:「官僚」は「政治家」と比べて安定した仕事を行っていると言えるかもしれません。明確な役割の区別もあります。基本的には、内閣が憲法と法律に基づいて国家公務員を管理することになっていましたが、内閣だけで管理できるわけがないので、ある時期までは行政機関の長、つまり大臣に全て委ねるという形にしていたのです。
B:なるほど〜!
野野花:『帝国の暗闇から』に、まさに「官僚」と「政治」の関係が記されています。あの当時は、今よりも官僚主導で行われていたようです。
この本には、独裁に狙われた人たちとして田中眞紀子、鈴木宗男、辻元清美が取り上げられています。
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第3章 独裁ってなんだろう
第1節 独裁に狙われた人たち
P137
官僚に楯突いた連中はみんな追放された。独裁の位相は明らかである。田中眞紀子、鈴木宗男、辻元清美等、みんなそうだ。ときに北朝鮮との交渉当事者が、政治家からテロを煽られたり、スケープゴートたる租税収奪の当事者が、制度こそを第一とする現役官僚から斬られることを含めて、この法則は不変のようである。
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本書の田中眞紀子の例を読むと、父が「官僚」と「政治」をどのように捉えていたかが分かります。
田中眞紀子のことを振り返ってみましょうか。
ウグイスの鳴き声、皆さんには何て聞こえるでしょうか?