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復刻『週刊 岡庭昇』

〜岡庭昇を因数分解する〜

第12回 2017年3月21日

こんにちは、岡庭野野花です。

今年に入ってからずっと『亡国の予言』を読んできましたが、いよいよエピローグです。

 

然りを然り、否を否と言ってこそ民主主義
小見出しに頷きながら、本文を追ってみました。
父はまず、作家・中園英助さんの『私本・GHQ占領秘史』(徳間書店)を引用しています。

「よいことはよい、悪いことは悪いというのは、何事も中途半端にする是々非々主義のようなものではない。上から下までイエス・ノーをハッキリいわないために、とうとう一億一心、大戦争にまで突っ込んで破滅してしまった」

そして、

「ここには、こんにちの鎖国ニッポンの本質につながる指摘がある。よいことをよいと言わず、悪いことを悪いと言わない〝システム〟こそが、鎖国モラトリアムを不変のものとする」

と書いています。

A:

やはり、鎖国モラトリアムにつながりますね。

「この国における戦後民主主義の出発とは、とりもなおさず〝一億総ざんげ〟にほかならなかった。今日の鎖国モラトリアムは、すでにそのとき決定されている。私たちの民主主義は、もともと然りを然り、否は否とは決して言わない、徹底して何事も中途半端にする精神から出発したのだった」

 

B:

民主主義について考えると、本当にさまざまな捉え方があってひと筋縄ではいかないね。〝一億総ざんげ〟だって、みんなで戦争責任を負うんだよというひとつの民主主義だと、岡庭氏は言っています。

 

A:

それって結局はだーれも責任を追わないってこと。だーれも戦争の責任を追わなかった国が、平和に対してどのようにも責任を負うわけがない!

 

B:

戦後民主主義とは、誰もが同じ顔、同じ制服、同じ意見、同じ思想を好んで、好むばかりか強制し合う。自粛や忖度(そんたく)も引き金となって……

あれれ? 民主主義はいずこに〜〜?

 

A:

あるのは、〝顔のない民主主義〟。民主主義って、市民1人1人の顔を見出そうとするものだったのにね。岡庭氏は、〝顔のない民主主義〟ほどグロテスクなものはないと表現していますが、吐き気がするほどグロテスクだと思う。

 

野野花:

だから、安倍のような総理が出て来るのでしょう。このままでは、たとえ安倍が変わろうと、日本は変わらないと思います。

 

「このような〝顔のない民主主義〟の〝システム〟を、わたしは〝和の強制力〟〝合意のファシズム〟と命名しておく。鎖国モラトリアムに沈没し、おのれの顔を消しておけば安全という考えるとすれば、それこそ大いなる錯覚にほかならない。(中略) 一度振り返ってみれば、亡国への軌跡はもはやあきらかなのに、団体行動の〝逸脱〟を恐れるあまり、ふり返ることさえ出来ない。

サラリーマン諸君、いいかげんにしたまえ。そろそろ鎖国モラトリアムを卒業しないと、行く着く先はほんとうに亡国の民だぜ。」

 

B:

そこそこ! 本書のサブタイトルにある叫び、「無知・無告の産業戦士なんかやめてしまえ!」ですね。痛快です。

 

B:

この叫びに、ほんの少しだけれど希望を感じます。いいえ、希望を持ちたいという方が正しいかしら。

 

野野花:

「顔のない民主主義という名の合意のファシズムを、みずからの身体を奪い返す過程のうちに、力をこめて突きくずそうではないか」

との文章で、エピローグは結ばれています。

 

A:

次のキーワードは、「みずから決め、みずから創り、みずから生くるものとしての社会」でしょうか。

 

野野花:

ええ、取り上げる本は、『自己決定力 ———人まかせの「生活大国」はない』にしたいと思います。

 

写真は、コブシの花です。

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第11回 2017年3月13日

こんにちは、岡庭野野花です。

トランプ ―— 安倍会談後、マスメディアは、米国と日本はうまく行けそうだ!! となって早いもので1カ月が過ぎました。いやはや、トランプ批判の報道はどんどん少なくなってきています。

「これで日本は大丈夫」って、みんな思っているのでしょうか。

 『亡国の予言』を読んで、父の言う「鎖国モラトリアム」はまだまだ続くんだなあと思いながらテレビを見ていて、びっくりしたことがあります。

ちょうど1カ月前、2月13日月曜日、朝のワイドショーで女優・清水富美加が、大川隆法総裁率いる「幸福の科学」教団に出家したと報道されていたんですが……

この大川隆法が『亡国の予言』に登場するんです。

 

A:

え〜〜〜っ。トランプに続いて、大川隆法も登場するとは! それは、びっくりですね。タイムリーすぎます!!

 

野野花:

抜粋してみますね。「ゆがんだ鏡———なぜアメリカを直視しえないか」の章の、「〝腰抜け〟ブッシュのせつない変身願望」の一節なんだけど、

 

著名な編集者・島地勝彦……(中略)……島地の《世界に出て馬鹿にされない人間になって欲しい》という、日本人への注文には、わたしも同意する。けれどもそれが、再びなるオカルト・ブームを批判した、松下清史の優れたレポート「ノストラダムスブームに乗る虚業家たちを撃つ!」

(「噂の真相」1991年6月号

参照HP http://www.geocities.jp/hs_cult/page14.html)の結語

《……今回のブームの裏には「湾岸戦争批判」を逆手にとった反米意識の増長とネオ・ナショナリズムの高揚(「今こそ日本がしっかりしなくては……」)のアジテーションがある。「太陽の法」で世界を救う日の本の国、と五島が書いた。それに便乗した大川隆法は、戦争反対にかこつけては三島由紀夫の後を追いはじめたいとう某や島田某の、よりシステム化されたネガ像というべきかもしれない》のような当今の〝気分〟に終わるとしたら、やはり空しい。

この二人の〝某〟とは、いとうせいこう島田雅彦というポップ小説家のことで (中略) ともあれ、いつまでも、アメリカに対して屈服か憎悪の二分法しかないのでは、やりきれない。それこそが、鎖国モラトリアムの感情でしかあるまい。

 

と、書いています。

 

B:

す、すごい。今の状況とあまりにも似ていて、背筋がゾクゾクしてきます。

改めて、岡庭昇って、何者なのって思わずにはいられないですね。

 

A:

そういえば、ノストラダムスがトランプ大統領の誕生を、完全に予測していたっていう話がウェブ上に載っているんです。

http://tocana.jp/2016/11/post_11445_entry.html

こうして世界が不安定になってくると、新興宗教ブームがこの国にやってくる……。

 

B:

うーむ。

結局この日本に相も変わらずにある「鎖国モラトリアム」って、「世界的にアメリカもヨーロッパも不安定だけど、日出る国の私たち日本は、他の国と違って大丈夫!」って、昔から信じてきたメンタリティで、それはある意味、宗教に近いものではないかしら。

 

A:

「屈服か憎悪の二分法ではなく」、八百万の神(やおよろずのかみ)がいる日本は白黒付けずに何でも受け入れるんだから、どこまで行っても沈まないってメディアも国民もみんなで信じようとしてるのかもしれない?

 

B:

白黒付けないなら、移民も難民も見えない……。移民や難民について語るも、鈍感なのでスルー。うまくやり過ごして、通り過ごせばなんとかなるっていう思考だなって、2月初旬の中旬までのメディアの報道を見て感じました。

 

A:

うんうん。1991年も今も世の中を直視しない「鎖国モラトリアム」で、日本はある意味一つの宗教かもしれないって思えてきます。

宗教だから悪い面を見ようとしない。

 

B:

なるほど。何もかもすべてを内包する日出る国だから、そこにある差別にも気がつかないってわけですね。

 

野野花:

来週は、『亡国の予言』をまとめながら、「飽和の中の危機 —― ジャパン・バッシングを聞け」の意味をみなさんと考えてみたいです。

 

B:

本は図書館で貸し出し中だったので、ネットで注文したら、1円で買えましたよ。まだお手元にない方は、ぜひ!

 

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第10回 2017年3月6日

こんにちは、岡庭野野花です。

 

先週から湾岸戦争を振り返っていますが、

日本が多額の支援をしなければ、イラク民衆の命が戦火に消えることはなかったと思えてきます。

それにしてもブッシュはいったいなぜ湾岸戦争をしたのでしょうか。

 

A:

『亡国の予言』には、こんなくだりがありました。

「言いかえるなら、ブッシュはどうしても戦争をしたかったのだ。優柔不断な〝腰抜け(エッグヘッド)〟とみなされていたブッシュは、マッチョ・マンの仮装が切実に欲しかったのだろう」

さらに、

「こうして見ると、〝国際社会への貢献〟などと、わけの分からぬ観念で大さわぎをしていた日本とは、いったいいかなる国なのか。(中略)

戦争はこの鎖国にとって、テレビ画像の像と、〝貢献〟をめぐるバカさわぎと、忘れていたアメリカの暴力機能へのやみくもな恐怖でしなかった」

と、綴られていました。

 

B:

なんと! この本に1990年代初めのドナルド・トランプが登場していますね。

「若き英雄、ドナルド・トランプは大統領になる夢はおろか、借金王になってしまい、離婚したら妻への慰謝料が払えないので、仕方なく結婚生活を続けいている、という体たらくである。あるいはそのうち、英雄からサギ師へ、呼び名が変わるかもしれない」

 

A:

ほんの数行ですが、あまりにもタイムリーなので、興味深かったです。

さすが、岡庭氏の着眼点は鋭いなと感じました。

先日行なわれたトランプ大統領の施政方針演説は、「大統領演説にふさわしい名調子」で、スタンディングオベーションが何度も起ったとか、ずっと敵対視されてきたCNNの世論調査においても78%が好印象を占めたと報道されましたが、アメリカの暴力機能へのやみくもな恐怖を、感じずにはいられません。

 

野野花:

そうですね。

日本政府は、トランプ大統領に経済的貢献と防衛的貢献を誓いました。そうして世界中に、アメリカではなく、トランプに忠誠を誓う安倍という構図を印象づけました。

鎖国モラトリアムのなせる技なのでしょうか。

 

A:

鎖国モラトリアム!

岡庭氏の固有のコトバづかいで、2月20日のブログにありますので再度読んでください。

「人と人との関係は、外と内ははじめから閉ざされている。そして、他者(他国)の立場に立ってみる想像力は、ますます失われつつある。この特有の独善的な一方的交流を、鎖国と呼ぶのである。いわば、鎖国モラトリアムである」

 

B:

次回は、鎖国モラトリアム時代、メディアに登場したさまざまな人物を、『亡国の予言』から引っ張り出してみます。

第9回 2017年2月27日

こんにちは、岡庭野野花です。

湾岸戦争が始まった時、私はまだ小学生でした。

『亡国の予言』を読んで、湾岸戦争の全貌をあらためて思い出しています。

湾岸戦争とは、そもそも何だったのでしょうか。

 

ウィキペディアによると

 

1990年8月2日、イラク軍は隣国クウェートへの侵攻を開始し、8月8日にはクウェート併合を発表した。これに対し、諸外国は第2次世界大戦後初となる、一致結束した事態解決への努力を始めた。国際連合安全保障理事会イラクへの即時撤退を求めるとともに、11月29日に武力行使容認決議である決議678を米ソは一致して可決し、マルタ会談とともに当時の冷戦の終結を象徴した。翌年1月17日にアメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領はアメリカ軍部隊をサウジアラビアへ展開し、同地域への自国軍派遣を他国へも呼びかけた。諸国政府はこれに応じ、いわゆる多国籍軍が構成された。(中略)

このクウェートの占領を続けるイラク軍を対象とする戦争は、多国籍軍による空爆から始まった。これに続き、2月23日から陸上部隊による進攻が始まった。多国籍軍はこれに圧倒的勝利をおさめ、クウェートを解放した。陸上戦開始から100時間後、多国籍軍は戦闘行動を停止し、停戦を宣言した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/湾岸戦争

 

野野花:               

この時の日本の動きも今一度、おさらいしたいと思います。

 

A:

当時の首相は、海部俊樹でした。多国籍軍に対する追加支援として、最終的には90億ドル(約1兆2000億円)を拠出すること、さらに難民移送のために自衛隊の輸送機を派遣する計画を進めました。その理由をみなさんは覚えているでしょうか? アメリカ国内では、「日本は今回の戦争に無関心だ」という批判があったんです。それで、日本の存在を主張しておかなければ世界で孤立するかもしれないと、心配になって打った計画です。

ブッシュ大統領は、海部首相に電話をかけ、日本の支援策に謝意を表し、アメリカにおける日本の株が、たちまち上昇したんです。

 

B:

日本では逆でしたね。テレビ朝日が行った世論調査では、追加援助を行うべきかどうかの問いに「ノー」の回答が37.2%と一番多く、追加援助を認める人は30%弱、24.9%が「仕方がない」と答えていたんです。

 

A:

でもね、私のまわりには、「戦場へ行くより、お金で済むならばその方がいいんじゃない?」って言う人もいましたね。

 

野野花:

p29からの「ゆがんだ鏡———なぜアメリカを直視しえないか」を読んで、当時を振り返ってみたいです。

 

「いろいろなことが分かってきた。湾岸戦争は、やはり歴史上もっとも大義なき戦争だった。イラククウェートを侵攻した当時、ヨルダンで難民キャンプの世話をした人が、やってられないよ、という調子でこんなふうに言ったらしい。〝ベンツでの乗りつけてきては、駐車場のスペース争いでケンカをしている。こんな難民って、見たことあるかい?〟

 これがクウェートの〝難民〟の実体だった。イラク撤退後のいま、荒れはてた自国に戻るのがいやで、多くのクェート人が、外国のホテル暮らしを楽しんでいる。後片づけがすんで、快適な暮らしが戻ってきたら、そのとき帰国しようというのだ。

 その〝後片づけ〟のために、アジアや中近東から来た外国人労働者が、黙々と働いている。

 もともと人口の三分の二におよぶ外国人労働者に汗を流させて、昼寝をしながら贅沢な消費生活を享受してきたのが、クウェート〝市民〟である。

 こんな連中のために、アメリカの若者が戦場に駆り出され、他の国の軍隊までつきあわされた。日本は大金を強奪され、十五万人のイラク民衆が殺されたのだ。何が〝大義〟なのか。国連は愚者の集団か?

 (中略)

帝国主義の本家・イギリスが勝手に線引きした国境の向こうから、努力なき贅沢三昧を見せつけられている、イラクの貧しい民衆の身にもなってみたまえ。

 (中略)

湾岸戦争の本質はあまりにもはっきりしている。二億五千万人の大国が、千七百万人のちっぽけな国を自分の都合のために叩き、敗走する軍や非戦闘員まで虐殺したとういうことだ。この戦争を始めなかったら、アメリカは確実に経済恐慌に落ち込んでいただろう。他国の軍隊まで動員して、軍産複合体のための有効需要を創出してやり、ライバルの日本からは大金を強奪し、もうひとつのライバル=ソ連に対しては、効果的にメンツをつぶした。」

 

A:

岡庭昇氏のこうした見解について、今改めて読んでとても感心します。

この続きに綴られている文章も興味深いです。

「戦争終了後、権力にふり回されっぱなしだったジャーナリズムが、やや落ち着きを取りもどしたこのところになって、パウエル統合参謀本部長やシュワルツコフ中東派遣司令官ら軍首脳は、じつは戦闘には反対だったのに、ブッシュ大統領だけがはやりにはやって、勝手に進攻を決めてしまったというのだ。」

 

B:

ではなぜ、ブッシュは戦争をしたのでしょうか。

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(次週につづく)

第8回 2017年2月20日

こんにちは、岡庭野野花です。

先週から取り上げている『亡国の予言』(1991年 徳間書店)ですが、どこを読んでも今の状況と似ていて、心底びっくりしています。

まずは、本書の目次の一部をご紹介します。

 

プロローグ―——われわれはモラトリアム・ジャップである

〝独裁者なき独裁国家(ソフト・ファシズム)〟ニッポン

ゆがんだ鏡———なぜアメリカを直視しえないか

〝腰抜け(エッグヘッド)〟ブッシュのせつない変身願望

卑怯であさましい〝モラトリアム・ジャップ〟たち

人権は国家が守ってくれるという倒錯した奴隷根性(マゾヒズム

情ない脱亜入欧———外は黄色いが中身は白い一億総バナナ

ジャパン・パッシングはやはり自分の手で行なうべき

鎖国幻想が試される―——外国人労働者・難民・在日

〝外国人と見たら不法と思え〟という行政体質

エピローグ−ふり向けば亡国等々

 

皆さんはどのタイトルにピンと来たでしょうか。このブログの編集スタッフ、Aさん、Bさん、いかがでしょうか。

A:

本当にびっくりです。刺激的なタイトルばかりで、一つひとつ読み解きたくなりますね。

野野花:

この本のキーワードとも言える〝モラトリアム・ジャップ〟とは、何を指すのでしょうか。一緒に考えませんか。

父は、12ページのプロローグでこのように書いています。

 

ここで、わたし固有のコトバづかいである〝鎖国〟と〝モラトリアム〟について簡単に説明しておく。

 日本は百二十年前に鎖国を解いた。アルバニアはいま、鎖国体制をやめようとしている。そういう意味では、日本の現在を「鎖国」と呼ぶのは奇妙に聞こえるかもしれない。

 これだけ大勢の日本人が外国旅行に出ているではないか、駐在員は世界中にいるじゃないか、日本製の商品は世界市場を制圧しているではないか、どこがいったい鎖国なのか、と。

 しかし、円を肥らせ、円を誇示する行為にすぎず、〝交わり〟はじつは存在しない。経済的にもいまやどの国からも非難されているように〝外へ〟の開放性とは逆に〝外から〟内の流れに対してはまったく閉ざされている。

 しかも、人と人との関係は、外と内ははじめから閉ざされている。そして、他者(他国)の立場に立ってみる想像力は、ますます失われつつある。この特有の独善的な一方的交流を、「鎖国」と呼ぶのである。いわば、鎖国モラトリアムである。

 モラトリアムということばが、一時流行した。大人になりたくない若者の〝猶予〟願望のことだが、この意味でいま、日本人はすべてモラトリアムに陥っている。

 

B:

なるほど〜。この文、とても理解しやすいです。

25年前から比べると国際化が進んだと思っている日本人も多いし、英会話スクールに行けば、英会話を求めている日本人であふれていて、ああ国際化に飢えているんだと思います。でも結局、ダイバーシティというかけ声のまんまで、25年前と何にも変わっていないのですね。

A:

トランプの移民政策に対して、シリコンバレーの企業は一斉に反対しています。シリコンバレーには、人種や宗教を超えて、ごく自然にいろいろな人がいるけれど、日本の企業から来た日本人は馴染んでいなくて、異様さを感じます。

以前、日本人のためのスタートアップピッチのビジネス交流会に参加した時のことですが……

完璧に英語を学んできましたよ、というような流暢な英語(?)で蕩々と自己紹介、続けてピッチをするんだけれど、その後に質疑応答や、ほかの登壇者とコミュニケーションせずにさっさと帰って行ったのが印象的でした。

B:

スタンフォード大学医学部に長年いた日本の研究者が、こんなことを話してました。

「日本人は自分の専門分野の世界の情報について調べもせず、無知のままやってくる。そして帰国すれば、スタンフォードにいたと錦の旗としている」って。

2015年には安倍首相もシリコンバレーを訪れて、

「制度だけをまねるのではなく、ヒトも、企業も、頭の先から足の先まで、シリコンバレーの文化を余すところなく吸収し、その色に染まりきってもらうのです。日本の素晴らしい技術を持ち、やる気に満ちあふれる優秀な人材に、思い切ってシリコンバレーに飛び込んでもらおう。日本の中堅・中小企業に、シリコンバレーの荒波に漕ぎ出してもらおう。私は、そんな思いで、シリコンバレーの皆さんとともに、新たに、『シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト』を立ち上げたいと思います」 

な〜んて発言をしましたね。

A:
シリコンバレーこそ移民の文化なのに、その本質を理解していない…… いや、理解する以前の問題で、本質を感じ取るチカラが備わってない。
今回みたいに、
「米政府の考え方を示したものでコメントする立場にない」という発言に繋がるんだと思う。
国際化と言いながら、25年前と国家体質は変わっていないのですね。
お父さんの表現、〝鎖国モラトリアム〟は、どんぴしゃり!

B:
それが幸か不幸か、25年の時を経て、トランプが大統領になった。
ノーテンキに飛んでいった安倍は、保護主義的な感性が一致して「ケミストリーが合う」とトランプに喜ばれて、19秒も握手し続けて、強固な日米の日米同盟をアピール。そして、胸をなで下ろす日本のメディア。
まあ、これが日本の生きかなと思えば仕方ないのかも。滑稽ですね。

野野花:
1991年に書かれたこの本には、「日本人は外国を旅行し、日本製品は世界を制圧している」とありましたが、
2017年現在、日本人は外国を旅行するだけの経済力をなくし(Twitterに、今の若者は外国に渡航するだけの旅費も持ってていない、というツィートがありました)、日本製品は日本人差別主義者が差別の対象としている韓国に市場を奪われつつあります。(日本にはあまり入ってきていないだけで、サムスンヒュンダイは世界を制圧しています)
1991年当時の内容と現在の日本を比較すると、日本がどれだけ貧しくなったかがよくわかります。
日出ずる国は、日没です。

20170220

次回は、

〝腰抜け(エッグヘッド)〟ブッシュのせつない変身願望

の章を読んでみたいと思います。

舞台は、25年前の湾岸戦争。ブッシュに金だけ出した日本について、父は詳しく書いています。

 

第7回 2017年2月13日

こんにちは、岡庭野野花です。

安倍首相とトランプ大統領の会談を受けて、1999年発行の『亡国の予言』(徳間書店)を読んでいます。

2月10日(日本時間では11日未明)に、安倍首相とトランプ大統領が初めて首脳会談を行いました。

互いに抱擁して、握手。そして仲良くゴルフに興じる蜜月ぶりをアピールしていました。

この2人のようすに、またこれを報道するテレビに大きな違和感を感じているのは、私だけではないと思います。

 

トランプは、イスラム圏7カ国からの米国入国を制限する大統領令を発令しました。ところが、米連邦控訴裁判所は、つまり日本でいう高等裁判所は、この大統領令の一時差し止めを認めたワシントン州連邦地裁の決定を支持する判断を(裁判官3人全員一致で!)示しました。

大統領令については、各国の首相らが非難しているし、アメリカ国内の企業からも反発や批判の声が相次いでいます。

しかし、日本企業トップの発言はというと ……

キャノンの田中副社長 「我々は予測不可能、何が起こるかわかりません」

三菱自動車工業の池屋副社長 「注意関心をもちたい」

経団連の榊原会長 「大袈裟にいうと、世界史的な大変動」

 

皆さんどこか評論家気取りではないでしょうか。

安倍首相に至っては、2016年度第3次補正予算案を審議する参院予算委員会で、

「米政府の考え方を示したものでコメントする立場にない。難民への対応は国際社会が連携していくべきだ」

つまりノーコメントです。

 

今回の首脳会談の記者会見でも、記者から質問にスルーしていました。

そして、日本のメディアは?

首脳会談の蜜月ぶりに胸をなでおろし、これまで否定的だったトランプの報道トーンが下がりつつあります。

滑稽としか言いようがありません。

 

父が1991年に出版した『亡国の予言』を読んでいますが、日本特有のアメリカ感は、25年前からまったく変わっていないと思えてきます。

「ゆがんだ鏡 —- なぜアメリカを直視しえないか」の章をひも解くと、ブッシュと大義なき湾岸戦争、それをメディアや文壇がどうとらえてきたのかを、父の視点で展開していて、とても興味深いのです。

出版から25年を経てもまったく色褪せない、父・岡庭昇が語る「在日日本人」、「外は黄色いが中身は白い一億総バナナ」を、皆さんにご紹介していきたいと思っています。

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第6回 2017年1月30日

こんにちは、岡庭野野花です。

このブログにお越しになってくださる皆さんに新しいお知らせがあります。

父の言葉を発信するTwitterツイッター「岡庭昇bot」を始めることになりました。このブログと併せてお読みいただけましたら幸いです。

twitter.com

さて、父が2004年に書いた『いまさらブッシュ 〜石油の海で溺れて、喚いて〜』(三五館)の続きです。

読めば読むほど、トランプの主張はまさにブッシュの時代に戻すことを示唆していると感じます。ただ、ブッシュの時代と異なるのは、今は石油中心、インダストリアル中心から、AI_IOTと情報中心の時代となっているということです。そして、アメリカにおける総生産の牽引をするシリコンバレーは、多国籍の移民により成立しています。

イノベーションは多様性の中に生み出されるといってもいいでしょう。

オバマも最後のスピーチで、「多様性の中にこそ未来がある」と語っていました。

『いまさらブッシュ』を読み終えた今、どうしてもこの一節を皆さんと共有したいです。

 

「それはそうとして、さてこの結果(ブッシュをどう思うかという、ばかばかしいとも思われるアンケートの結果)ブッシュ大統領がアメリカの恥だという当然の反応の代わりに、ムキになったアメリカ人大衆のブッシュ指示の心情を引き起こすといわれている」

 

「アメリカのこのような、他国から悪く言われる自国の指導者は、文句なく指示するという心理傾向は、その大いなる劣等感をこそ映し出しているのではないか」

 

「大雑把にいって、それは、南部の北部に対する心理としてあり(ハロウィンで仮装していた無抵抗の日本人を、それとわかっていて射殺した人種差別主義者を、土地の陪審員全員一致で無罪判決を出すような)アメリカのヨーロッパに対する根深い劣等感(食い詰めてヨーロッパを都落ちしてきたのが、アメリカ人の先祖であることは、隠しようもない)があるそういう根本的なものからきているが、第三世界に対するときは、これら劣等感に連続する差別しかないのだから始末が悪い」

 

果たして今後、トランプをアメリカ国民は文句なく指示する心理傾向に向いていくのでしょうか?

 

ブッシュの時代とは異なるこの時代に、トランプが放つ差別や疎外が今後どのように社会に影響していくのか……。

父の目で見て語ってもらいたいと思います。