第21回 2017年6月5日
こんにちは、岡庭野野花です。
さらに、復習を続けたいと思います。
失われた10年と言われたその後、2001年に小泉政権(~2006年)が発足しました。グローバル化とIT革命の波がやってきました。日本人は、私たちの労働賃金の1/10程度で働く発展途上国の労働者との競争を余儀なくされて、小泉内閣は「改革なくして成長なし」をスローガンに構造改革を本格化させました。
格差の元凶とまで言われた「労働者派遣法の改正」を政策に盛り込み、企業にとって使い勝手のいい新たな雇用スタイルが誕生したのです。海外に生産拠点を移しつつあった日本企業の、日本国内における産業の空洞化に歯止めを掛けたというわけですよね、Aさん。
A:
はい。そしてこの構造改革が、所得格差の拡大を産み出したことは間違いなし!
2002年2月以来、景気拡大期が続いて、2006年11月には戦後最長といわれた「いざなぎ景気」を抜きました。実質成長率は平均2%弱と低くて、「実感なき景気回復」と言われたの、思い出します。2008年には世界金融危機が起こって、再び不況に戻ったんです。
B:
この辺からはもう昨日のことみたいです。1990年代は、日本のバブル崩壊や欧米の経済低迷で日・米・欧州共に金融緩和が勧められて、1997年頃からのアジア通貨危機や、1998年に世界最大のヘッジファンド=LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)が破綻でしょ。新興国やヘッジファンドへの投資マネーが一気に引き上げられて……。
A:
そうした世界の金融緩和でだぶついていた資金が、注目度の高まっていたIT関連企業に集中。そこで起こったのが「IT バブル」です。アメリカでは、自動車(GM)や家電(GE)などの企業が死に絶えて、産業構造の転換が急務だった時代で、IT~コンピュータやインターネットの関連企業がその有力候補となったんですよね。
B:
そして、9.11。世界はまた不況になって、株価は低迷し続けて……。だんだん現在に近付いてきました。
A:
時は、アベノミクス。規制緩和によって株価は上がり、成長戦略で補助金がばらまかれている今! 一方で、世界は貧富の差が広がっていて、保護主義が台頭し始めています。トランプの誕生は、忘れられた底辺の人々によるもので、ヨーロッパもまた、忘れられた人々の怒りにより保護主義や極右のチカラが台頭し始めているではないですか。
野野花:
でも、こうして声が上がるのはある意味、バランスだと言えるのではないでしょうか?
先進国30ヶ国中、貧困率が4番目に高い国となっている日本人は、こうした声を上げることもなく、テレビでは森友問題が面白おかしく報道されています。
A、B:
ああ、自立していない、お任せ日本人!
野野花:
でもね、父は、「自立していない、お任せ日本人」に、可能性を見出そうとしていました。
(続く)